2008年11月のバックナンバー

黄金の猿

劇団桟敷童子の『黄金の猿』を観に行きました。

 

演出の東憲司さんは今年の明治座と新歌舞伎座で『奇想天外-マダム貞奴オッペケペー人生』の演出をお願いした方で、劇団の役者さんも両公演に出演してくれた皆さんです。

お芝居のテーマは虐げられた人々の深い悲しみですが、根底を流れる人間愛は東さんらしく健在です。境遇の近い弱者同士の憎悪は、生き残るためとは言え、現実の世界を鋭く照らし出します。権力者はその構造の上に胡座をかいている・・・。

深く普遍的なテーマです。

 

こんなことを言うと難しいお芝居のようですが、最初から最後まで息をつく間もないテンポと大胆な舞台美術で、アドリブでしょうか?シリアスな場面に思わず吹き出してしまう台詞。本当に楽しいお芝居でした。

役者の皆さんも素晴らしいエネルギーで熱演です。生傷が絶えないんじゃないかしらと心配になります。詳しく話すとネタバレになるので控えますが、最前列ではビニールシートが大活躍です。

 

公演会場は江東区新大橋のベニサン・ピットで12月7日(日)までです。

 

たとえ滅びの中にあっても、希望を捨てず「生きて行く!」そんなことを、改めて心に刻むお芝居でした。

 

石川さゆり

筑紫さん安らかにお休み下さい

久しぶりの休日で自宅に居りましたら、筑紫さんの訃報が伝えられました。突然の大きな悲しみと驚きで、 一瞬何が起きたのか分かりませんでした。

 

今年1月には私の誕生日にもおいでいただき、時の経つのも忘れて楽しいお話に花が咲きました。 芸術大賞のお祝いにと食事に誘って下さり、奥様と私の娘と皆で楽しく、時には日本の将来について、 私や娘にも分かるようにお話して下さいました。

もう少し時間が取れるようになったら、もう一度学校に通って勉強したいと申しましたら、「筑紫さんが居るじゃない! 知ってることは何でも教えるよ」と言っていらしたのに・・・。

 

私の『二十世紀の名曲たち』のアルバムが大好きで、よく聞いて下さいました。

 

水上勉先生、灰谷健次郎さん、筑紫さんと若狭の一滴文庫で『幻夢一夜』に集って20年余り。日本の美しさ、優しさ、そして愚かな所、 沢山教えていただきました。でも、私達が忘れてはならないこと、まだまだ教えていただきたかった。

「大きな声だけを聞くのではなく、小数の小さな声にも耳を傾けなければ、事の本質、真実は見えて来ない」とおっしゃってましたね・・・ 。

 

筑紫さんの眠っているような優しいお顔を拝見し、「お疲れ様でした、今度こそスローライフに・・・」、そうお別れを申し上げました。 筑紫さん、本当に本当にありがとうございました。

 

外に出ましたら、マスコミの方が一斉に押し寄せて、「一言!」「中の様子は?」と質問攻めです。大きな出来事なのは分かりますが、 私にはこの悲しみの中で答える術がありませんでした。筑紫さんはきっと苦笑いでご覧になっていることと思いました。

帰りの車の中、整理のつかない悲しみと割り切れない思いで涙が止まりませんでした。

 

石川さゆり

明日は立冬

ポカポカと暖かさに誘われてご近所を散歩すれば、木々はいつの間にか秋色。暦は立冬だというのに、得したような気分です。明日からは冷え込むようですから油断は禁物。

 

アメリカでは次期大統領にオバマさんが当選したということで、ニュースでもトップに扱われました。さてさてこれから世の中は良い方に変わって行くと思いたいです。

 

それにしても今年は月日の経つのが早くなったような気がします。遣り残したことがあるようで・・・。少し落ち着きません。残すところ二か月。ネジを巻かなくては。

 

道を歩いていたら歩道に銀杏の実が沢山落ちていました。ちょっと踏んでみたら、小指の爪ほどの可愛いギンナンが出てきました。お鍋の恋しい季節がやって来ます。

 

石川さゆり

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